転職面接で避けて通れないのが退職理由(転職理由)の説明です。
この退職理由はどこの会社の面接を受けても必ず聞かれる質問でありこの回答の仕方を間違うと面接の評価は大きく下がります。
最悪のケースはその時点で選考が実質終了する事さえあります。
退職理由は一部のヘッドハント等で転職する特別な人を除き殆どの人は以下の4つが本当の理由、つまり本音です。
・人間関係や職場環境の悪さ、
・給与への不満、
・今の仕事にやりがいがない、
・ワークライフバランスが悪い
しかし、この理由を転職面接の場でそのまま正直に回答してしまうと企業側も不満があったらまたすぐ辞めるのではないかと心配してしまい、かなりの確率でその面接には落ちます。
私は現在役員面接の面接官として転職者の最終面接を担当しており面接候補者に内定を出すかどうかの最終判断をしています。
私は面接の中で退職理由につい必ず全ての候補者に質問しますが、実を言うと企業側も候補者の本当の退職理由は大体分かっており、面接で聞きたい事は前職を退職する候補者の本音の部分ではありません。
正直申し上げて面接では嘘はダメですが、退職理由については本当の事を言う必要はありません。
転職面接で企業側が候補者に訴えてほしいのは本音の部分でなく以下の点です。
「転職した後に前職の会社の失敗や教訓をどうエネルギーにして転職先で成功しようとしているのか?」
「そしてその熱意はどれくらいあるか?」
この記事は転職面接で「退職理由(転職理由)」を質問する会社側の本当の目的、内定に結び付くすべらない退職理由の説明方法3選、そして良く聞かれる質問例7つを厳選して詳しく解説していきます。
会社が退職理由(転職理由)を聞く目的
転職面接で面接官が「退職理由(転職理由)」を質問する目的は、ズバリ 「リスクチェック」と「自社とのマッチング度」を見極めるためです。
退職理由を聞く目的1:リスクチェック
このリスクは「うちに入社後、短期間でまた転職を考えないか?」「問題を起こす人ではないか?」の大きく2つです。
不満を抱きやすい人、マイナス発言ばかりする人、全てを他責にする人、そしてこれらの思考で転職を多く繰り返してしまうタイプかどうかを会社は厳しくチェックしています。
入社後に周りにマイナスの影響を与えたり、採用コストをかけても結局直ぐ辞める可能性が無いかを確認する事は企業として一番最初に確認しないといけない事です。
退職理由を聞く目的2:自社とのマッチング度
転職理由からわかる現職(前職)企業への不満が、転職先の企業で本当に解決できるのかどうか?
そして転職先に上手くマッチ出来るかどうかを判断する為に企業はこの退職理由を質問をします。
つまり質問の答えにより企業の働き方や文化にあった人かどうかを判断します。
例えば、ハードワークをモットーとする会社に対してシンプルに「現職は残業が多いから」と答えると自社がもっと残業時間が多い職場なら「この人はすぐ辞めてしまう」と面接官は簡単に判断します。
よって「入社後は組織に溶け込み長く働いてもらいたい」と考える面接官の心理を踏まえ、企業が今回の求人を募集する背景と企業文化等を良く調べて、転職理由と応募理由を結び付けるしっかりとした退職理由を準備することが面接対策として必須です。
転職面接ですべらない退職理由(転職理由)の答え方5選
それでは転職面接ですべらない退職理由の答え方5選を紹介します。
1)「御社に入ってこう変わりたいから転職する」と退職理由を前向きに言い変える
まず転職理由を説明する時には事実のみを伝え不満や本音は絶対伝えない事です。
前述した通り企業も数多くの転職面接を行っており候補者が何かしらの不満がきっかけで転職をしたいという事は概ね分かっています。
只、それを面接の場で表に出して「不満」でいっぱいになった応募者は敬遠します。
「ここが嫌だから転職する」が本音でも、「この経験を活かし御社でこうなりたいから転職する!」と伝え方を必ず前向きに言い換える事が必須です。
前職の経験と退職を糧に自分の 「やりたい仕事内容」「得たいスキルや経験」「キャリアプラン」 などを応募先のポジションに上手くつなげ採用頂ければ必ず前職で達成出来なかった事を是非達成したいという前向きな転職理由としてストーリーを作り面接で語って下さい。
また 面接で最も重要な事はあくまでも「好印象」です。そのため、「つらい」「きつい」「やらされている」「やりがいを感じない」などのネガティブワードは必ず避けるようにして下さい。
2)転職理由は志望動機と一貫性を持たせる
転職理由(退職理由)は前職で達成出来なかった事、失敗した事を実現するために「やりたい仕事」「得たいスキルや経験」「キャリアプラン」等を転職先で得るという前向きな方向でまとめた上で志望動機との一貫性を取って下さい。
志望望動機は「その会社に入って何をしたいのか・何を実現したいのか」と言う事ですから前職で出来なかった事、失敗した事を糧にして応募先で具体的にこう活躍したいというストーリーを事前に作っておいて下さい。
面接官は転職理由について色々突っ込んだ質問をしてきます。志望動機との一貫性に矛盾が出ないよう事前に想定質問を考え本番で矛盾が出ないよう十分に準備して面接に臨んで下さい。。
3)嘘はつかないが本音は語らない
面接の転職理由(退職理由)として本音をそのまま言わないことは、「本音を隠して嘘をつく」「建前を言う」ことではありません。
もし、本音を隠す為に本当の事と全く違う事を転職理由にすると、虚偽の回答になります。
それだけでなく深堀りした質問をされた時に矛盾がでてきたり、回答できなくなったりします。
面接官は沢山の面接を行っており候補者がこのような状況になると嘘を言っているという事は簡単に見抜きます。面接官が嘘をつく「信用できない人」という印象を持つと殆どのケース選考はその時点で終了です。くれぐれも嘘はつかないようにして下さい。
4)他責にしない
面接で転職理由(退職理由)を質問された時、他責、つまり「人のせい」にした瞬間評価は大きく下がります。
特に「上司のせい」「同僚のせい」「会社・社風のせい」と誰かを悪者にしてしまうと、あなた自身の印象も悪くなります。つまり企業側は入社しても又他責にすると判断します。
大事な事は自分の退職が誰のせいと言う事でなく、この退職を自分の勉強として転職先で何を実現するかです。
尚、他責は意識していなくても無意識に言葉に出たり話のニュアンスに出ますので回答については準備と練習をして面接に臨んで下さい。
参考までに、セクハラやパワハラ等明らかに相手に責任がある事が理由でも正直に伝えるべきかという質問を良く受けますが、これは本当の事でも面接で話す必要はないというのが筆者の意見です。
というのも転職面接という限られた時間の中では、面接官がその状況を理解することが難しいこと、そのため面接官によって受け取り方が異なる可能性があり説明の仕方を間違うと変な方向に誤解されたり答え方により評価を落とすリスクもあるからです。
5)但し働き方に制限のある人は正直に伝える
最後に注意したいのは、「勤務条件」に制限がある場合です。
この場合は逆に転職理由(退職理由)として伝えた方が良いです。例えば家庭の事情、健康の理由等やむを得ない事情で現実的に働き方に制限が出る人です。
これらの人はまず希望に合う職場環境を探して転職先に応募すると思いますが、入社後のトラブルや転職後直ぐの退職を避けるために勤務条件は面接もしくはその前の段階で正直に示しておき入社の可否を会社に判断してもらう事が転職先の会社の為だけでなく自分の為になります。
理由別の伝え方7つの例
それでは7つの理由別に退職理由をどう面接で説明すれば良いかを例分を入れて解説します。
1.人間関係が悪かった場合
人間関係がうまくいかずストレスを感じて辞めたという退職理由は一番多い退職理由の一つです。この退職理由については新しい職場でこれらを改善して良い信頼関係を築いていきたいと前向きに言い換えましょう。
例えば転職先に入社したら同じ会社で働く社員同士が協力し合って課題を解決することに焦点をあてる事が出来ると聞いているので、社内で円滑なコミュニケーションをとってチームで仕事の成果を出して行きたいと言うような内容を語って下さい。
例文
「前の職場はチーム内のコミニュ
ケーションが少なく、仲間意識が希薄な面がありました。御社はチームワークで仕事をする事を大切にしている会社とお伺いしました。御社に入社出来たら是非チームで仕事に取り組み大きなプロジェクトを成功させたいと思い御社への転職を希望しました。
2.仕事に向いていなかった場合
仕事に向いていないという退職理由は「前職を通じてやりたい仕事が見つかった」「新しい環境に身を置いて自分の可能性を広げたい」と将来の事に向けて言い換える事が出来ます。
前職での経験と、そこで身につけたスキルを「次の職場でこんな風に活かしていきたい」と志望動機や自己アピールにつなげるとよいでしょう。
例文
「営業事務として社内のサポートが中心でしたが、顧客と直接交渉が出来る営業の仕事を
したいと思うようになりました。部署の異動を希望したのですが5年以上実現せず、新しい環境にチャレンジしたいと思い御社への転職を希望しました。」
3.パワハラを受けたケース
パワハラが原因でメンタルを崩して退職した場合、こんな被害を受けて辛かったと長々語ることは避けましょう。特に自己都合で退職している場合は「業務態度に問題があり、叱責を受けたことをパワハラと主張しているのでは?」といった誤解を与えないよう、客観的な事実を簡潔に伝えるのがポイントです。
例文
「毎月高い営業目標を達成するために、終電近くまでの残業や休日出勤を余儀なくされる環境でした。業務の効率化について上司に相談しましたが聞き入れてもらえず、改善は難しいと感じ退職いたしました。御社は働き方改革も先進的に取り組んでおられる会社とお伺いしましたのでもしご採用頂けたら今までのハードワークを勉強にして御社でも是非頑張って活躍したいと思います。
」
4.体調不良・病気になって退職した場合
体調不良や病気が理由のときは、現在は回復していて問題なく勤務ができることを伝えましょう。特に離職期間が長い場合は、下手にごまかしたり言葉をにごしたりするよりも、正直に理由を話した方が信頼を得られます。また、業務上確認の必要がある場合を除き、病名や既往歴について触れられたくないのであれば無理に話す必要はありません。
例文
「前職では長期間労働や休日出勤が多く、体調を崩したため退職しました。現在は体調も回復し、医師からも就労の許可がおりています。」「今回の募集ポジションの業務には問題無いと判断して今回御社に応募させて頂きました」
5.親の介護が必要になり一旦退職した場合
介護が必要で退職した場合、今は状況が改善して働けるようになったことや、業務に支障が出ない根拠を示すことが重要です。病名や介護レベル、家族や介護サービスとの連携をとって無理のない介護体制ができていることなど、詳しく説明できるようにしましょう。入社後に介護のため休みを取る必要が出てきたときにも、配慮してもらいやすくなります。
例文
「父の介護が必要になったため、止む負えず退職しました。その後、デイサービスの利用やホームヘルパーと連携を取って介護の負担が軽減できたため、また仕事が出来るようになりました。」「御社に応募する際、実際の業務内容も確認させて頂きましたが御社で業務をする事には問題ないと
判断して応募しております」
6.給料が少なかった場合
これは代表的な本音の退職理由の一つです。 もちろん今の生活を維持して行く為のお金は必要不可欠ですが、金銭面の不満を前面に主張する本音丸出しのトークは避けるべきです。結局今回の転職も給与だけで決めたと思われないよう、これまでの具体的な実績やキャリアアップの意思を伝えて下さい。また、結婚や出産などのライフステージの変化があり収入増が必要になった場合は正当な転職理由と理解されます。
例文
「前職は伝統を重んじる社風で、若手社員の意見や成果が評価や給与に反映されにくい部分がありました。現場に裁量権があり、若手にも活躍のチャンスを与えてくれ成果も正しく評価に反映できる御社で働きたいと思い、転職を決意しました。」
7.残業が多かった場合
この理由も最も多い転職理由の一つです。時間外労働は原則月45時間、年360時間までと法律で上限が定められてる事を前提に毎月どのくらい残業していたかを整理して、客観的に納得できる数字を提示しましょう。また、これまで残業にあてていた時間を有意義に使いたい、効率的に仕事をして生産性をあげたいなどの前向きなアピールで働く意欲を伝えると前向きな理由になります。
例文
「前職では毎月40時間以上の残業があり、自己成長のための時間を取ることが難しい状況でした。御社は資格取得支援制度が手厚く、働きながらスキルアップを行っている社員も沢山いると聞いて今回応募させて頂きました。
これまでの経験に加えて技術をさらに磨き、御社で活躍したいと思います。」
「短期間での退職」した場合の答え方
短期間で退職している場合は更に説明に工夫が必要です。企業の採用担当から「もし入社してもすぐに辞めてしまうのでは?」と疑問を持たれる事を避けないと内定に至りません。
よって、転職先では長く安定して勤める意欲があることを示唆したうえで、以下の2点の説明を特に気を付けて下さい。
- 志望動機とつなげる
- 前職の志望動機と一貫性を持たせる
以上の二つを上手く担当者を納得させることができれば、短期離職していてもそれほどマイナスな印象にならないはずです。
志望動機とつなげる
退職理由と志望動機の間のつながりを大事にすることは短期間で退職した場合でも同じです。前の職場をなぜ短期で退職したか、そこで実現できなかったことを上手く伝えて下さい。そしてそれを踏まえて新しい職場ではどんな風に仕事に長期的に取り組んでいきたいかの方に重点を充てて説明する事です。
一貫性を持たせる
特に短い転職を続けている人はそれぞれの転職理由に一貫性を持たした内容にして説明して下さい。
希望と違う部署に配属された、リストラにあったなど、短期離職のやむを得ない事情があった場合は正直に話しても構いませんが、今回の職場ではこれらの経験を生かして必死で頑張り長く転職先企業に努めて貢献したい気持ちを熱く伝えて下さい。
まとめ
転職面接における退職理由の説明はそのやり方により合否を大きく左右する要素を持っています。
まとめると面接ですべらない為には前述した通り以下5つを踏まえて退職理由(転職理由)を答える事です。
- 退職理由は前向きな理由に変換して伝える
- 転職理由は志望動機と一貫性を持たせる
- 嘘はつかないが本音は語らない
- 他責にしない
- 但し働き方に制限のある人は正直に伝える
是非今回紹介した方法をを参考にして面接ですべらない退職理由をしっかり準備して内定につなげて下さい。
以上